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【発言録】 前夜祭 晩餐会

開会挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会1


工藤 泰志(言論NPO代表、第6回 東京‐北京フォーラム日本側運営委員長)

 

 皆さん、ようこそおいでくださいました。言論NPOの工藤と申します。

 10回開催する約束で始められたこのフォーラムも今回は6回目、折り返し地点となります。このフォーラムは民間で日中関係を議論しあう重要な機会であります。このような機会があるのは、ひとえにみなさんのサポートのお陰です。今回のフォーラムでは、中国から100人を超える方々が日本にやってきます。また参加者は延べ2400人を予定し、過去最多となっています。日本の政局は混乱状態ではありますが、仙谷由人さん(官房長官)が来て下さいました。ありがとうございます。

 2005年と比べれば、日中関係は改善されたように思います。しかし世論調査で気になることがデータとして見つかりました。それは、「日中間の信頼関係がまだ築けていない」と両国民が感じていることです。だからこそ、これまで以上に、このフォーラムが重要であると私は考えています。

 ところでなぜこのホテルを選んだかというと、国際会議施設であるのはもちろんのことですが、東京タワーが隣にあるためです。非常に力強い光を放っている東京タワーは、戦後において発展のシンボルでした。その東京タワーも今では2番目の高さの建物です。日本も東京タワーのように、将来的にアジアの中では2番目という立場になるかもしれませんが、力強く、存在感のある国でありたいと感じています。今回のフォーラムは、現在のことを話すのではなく、未来志向の議論をフォーラムで行いたいと思っています。

 皆さんどうぞご協力をお願いいたします。

日本実行委員長挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会2


安斎 隆氏(セブン銀行代表取締役会長)

 

 こんばんは。ようこそ日本へいらっしゃいました。今年の日本は記録的な暑さで、北京以上です。そのような中、このように多くの方にご参加を頂き、本当にありがとうございます。前回のフォーラムは大連で開催されましたが、日本の選挙の関係で11月の開催に変更して頂きました。その際には、北京で道路が凍結し、飛行機が飛ばなかった影響で、到着が遅れる人、来られない人などのハプニングにも見舞われました。しかし自動車で北京から送迎して頂くなどの中国側の努力のおかげで、移動もスムーズに行うことができ、フォーラムを大成功に終えることができました。大連の市長さんである夏さんを始め、本当に皆さんの歓迎のおかげで非常にすばらしい議論になりました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

 ところで、本フォーラムは日中関係の改善を民間でもできるのだということで始まりました。しかし今は、世界の未来のためにこのフォーラムが役立てられるのかという風に、内容が格段に変わってきています。私の解釈では世界経済は深い森のなか、方向感なしの状態です。個人消費と民間需要の低迷。金融の緩和や、国債発行による政府需要の創出にも限界が見えてきています。安易な通貨政策・保護貿易主義も見られます。また一部地域では軍事的緊張を高めかねない動きもあります。そのような影響が原因で、将来の経済発展を阻害する動きは絶対に許してはいけないと感じており、このフォーラムが果たす役割、責任は重大です。

 明日からは、白熱した議論を展開していただきたいと思っています。

中国理事会主席挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会3


朱 霊氏(中国日報社総編集長)

 

 ご来場の皆様こんばんは。このように皆さんと東京でお会いできたことをうれしく思います。本日私が再会を楽しみにしていた旧知の皆様、また初めて会う皆様ともお会いできました。このことからもこのフォーラムの生命力を感じます。5年前にフォーラムを立ち上げてから、多くの皆様のサポートをうけながら日を追って成長しており、これは皆様の知恵と努力の賜物でございます。心より御礼申し上げます。

 中国は戦略的に日本をパートナーと見ています。コンペティターであるとか、敵国であるとは見ていません。そうしてこそ、初めて戦略的互恵関係となるのです。温家宝首相の来訪で首脳間の来訪が回復し、東シナ海の問題も進展しました。これは両国の国民にとって喜ばしい進展と思います。

 6回目の世論調査結果を見ても、両国関係が重要だというのは共通認識になっています。日本の調査によると有識者の61.8%、世論の41.6%は両国関係を良くなったと考え、楽観視しています。これは去年より上がっており、よい方向に向かっていく証拠です。このような流れは時代の流れであって、両国の望むところであるからこそ実現したものです。東京‐北京フォーラムは明日開幕ですが、皆さんのご努力でこのフォーラムが必ずすばらしいものになると確信しています。

日本側政府挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会4


仙谷 由人氏(内閣官房長官、衆議院議員)

 

 みなさんこんばんは。今日は6回目のフォーラムがこんなにも大きくなって開催されていることに、心からお喜びを申し上げたい。王晨、趙啓正、李肇星、陳昊蘇、呉建民、呉寄南、劉江永の各氏、さらにここまでフォーラムを継続して作り上げられた、工藤さんと朱霊先生にも心から敬意を表します。ようこそおいでになられました。心から御礼申し上げます。

 実は私がフォーラムに具体的に参加したのは第2、3、4回目ではありましたが、工藤さんや安斎さんに1回目から引き込まれ、実行委員として議論に参加してきました。

 2005年当時は日中の関係は大変後ろ向きの関係でありましたが。工藤さんから「日中関係がこのままではいけない」というお話を聞きました。また民間企業の経営者や言論界、政治家が、もう少し自由な議論を展開し、お互いに正しい認識をすることが重要であるということをご提示いただきました。

 そしてなにより、議論の前提として、継続して日中の両国民を対象に世論調査を行い、客観的データに基づいて議論を組み立てるという工藤さんの提案は素晴らしいと思います。感覚でお互いの非難や陰口を言い合うのでは、日中間に本当の戦略的互恵関係を作るのは不可能だと思い、そのような議論の場に微力ながらお手伝いさせていただきました。

 2回目のフォーラムは東京の国連大学で開かれ、当時の安倍官房長官が出席し、新しい日中関係の構築について述べられた様子を今でも鮮やかに覚えています。そして、ほどなく安倍さんが総理大臣になられて、それ以来急速に日中関係が改善されてきたと感じております。また事務方という立場であり地味ではありますが、言論NPOの役割があってこそ今の関係があると感じています。

 当時の私は野党議員の1人でありましたが、今はどういう運命の巡り合わせか、官房長官の職にあります。そのため、言動を慎まねばならず、思い切ったことは言えませんが、懐かしい皆さんにお会いできたことを大変うれしく思います。今後は、両国の目標である環境にいい経済、「グリーンエコノミー」をお互いの力で作っていきたいと感じております。

 アジアの中における日中の貢献が今後さらに必要であると思います。今年のテーマは、「アジアの未来と日中の貢献」。まさに日中両国が共同して、アジアの未来を創るために貢献しなければなりません。身を引き締めて、新しい21世紀づくりに邁進したいと感じております。ご参加のみなさんのフォーラムでの熱い議論を期待して、私の話を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中国側政府挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会5


王 晨氏(国務院新聞弁公室主任)

 

 尊敬する友人の皆様こんばんは。このような美しい季節の中、東京-北京フォーラムにご出席の皆様が一晩を過ごしています。とりわけうれしいことは、このフォーラムの開催のためにご尽力いただいた友人の皆様が出席できたことでありました。仙石官房長官をはじめ明石さん、安斎さん、国分さんなどがフォーラムに出席され、中国を代表して感謝の意を申し上げます。

 過去のフォーラムでは文化、経済発展、気候変動、エネルギーなどをテーマに安定的なアジアの発展を目指した積極的な議論が行われてきました。これにより相互理解が進み、誤解や疑念が払拭され日中関係の積極的発展に貢献しました。日中は一衣帯水の隣国として、両国民は相互提携・相互友好を重ねてきています。近年指導者の密接な相互訪問によって戦略的互恵関係と位置づけられ、温家宝首相は「自信と希望の旅」と題して日本を訪問し多くの重要な共通認識が生まれ、子々孫々にいたる基盤を構築することができました。

 上海で行われている万博の日本パビリオンには多くの人が訪れ、日中交流が発展してきたことが注目されました。舞台劇「夢の旅人」では阿倍仲麻呂の時代など、改めて生々しく再現されました。特に嬉しいことに、中国日報社と言論NPOの世論調査では、両国関係の重要性の普遍的認識が力強く実現されています。これも、両国の政府交流、文化交流の賜物であると考えています。両国はアジアひいては世界の未来に対し、重要な責任を持っています。これはこのフォーラムが時代に順応しようとしていることの現れです。両国間が絶えず良い関係に向かいつつある中で、民間外交の推進・互恵関係の強化・友好関係のレベルアップと健全な発展のため、フォーラムが円満に行われることを祈って私の挨拶といたします。

中国側パネリストのスピーチ


発言録 前夜祭 晩餐会6


陳 昊蘇氏(中国人民対外友好協会会長)

 

 友人のみなさん、私はご紹介の通り6回目の参加になります。日本の関係者・パネリストに心から敬意を表します。勿論主催者である言論NPO、チャイナデイリーに感謝を申し上げないわけにはいきません。

 私はこのフォーラムに関する6つの「大」についてお話しします。まず、規模が「大」きいということです。次に「大」きな視野を持っているということです。我々のテーマは開かれており、世界に目を向けたものです。次に「大」目標。5年前掲げた目標に近づきつつあります。その目標とは、日中の友好と世界平和です。また、「大」きな知恵です。問題解決にはハイレベルな政治的知恵が必要です。さらに「大」きなアクションです。しかるべき行動をとらなくてはなりません。まさにこのフォーラムはアクションの一環です。最後に「大」きな外交です。北京で日中政府間対話がありましたが、我々は民間対話です。6つの「大」を合わせて、大成功・大勝利に向かって邁進しようではありませんか。

日本のサポーター紹介


発言録 前夜祭 晩餐会7


副島 利宏氏(三井物産株式会社顧問)

 

 こんばんは。日本側実行委員会の財務委員長をやっております副島です。日本側のフォーラムの必要経費は賛同企業50数社、2つの団体の支援金によって成り立っています。支援企業の皆様の名前をすべて挙げるのは数が多いので控えますが、毎年ご協力いただき厚く御礼申し上げます。また来年以降もよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

日本側パネリストのスピーチ


発言録 前夜祭 晩餐会8


宮本 雄二氏(在中国日本大使館、前特命全権大使)

 

 こんばんは。大使として北京にいるときから、このフォーラムは日中間に新しい関係を作る良い会合になると感じていました。そういうフォーラムに、東京に戻ってまた参加できることを大変嬉しく思っております。日中の戦略的互恵関係は先見の明のある非常に良い枠組みだと思っています。以前は大使という政治的枠組みのなかではありましたが、日中関係の更なる発展の実現のために、今後はみなさんと一緒に民間の立場で一生懸命やりたいと思います。どうもありがとうございました。

日本側支援者の挨拶


発言録 前夜祭 晩餐会9


若宮 啓文氏(朝日新聞社コラムニスト)

 

 みなさん、宴たけなわではありますが、中締めの挨拶をしたいと思います。先ほど安斎さんから紹介いただきましたように、大連の際には政局の煽りを受け11月に変更となりましたが、今年も大変な状況のなかでの開催となりました。

 今回で6回となるフォーラムですが、第1回の時の日本総理大臣は小泉首相でした。以来菅総理まで6人目となりますが。1回やるたびに総理が変わっています。大変恥ずかしい話ではありますが。日中だけでなく、日本の中でも熱い議論がされると思います。ひょっとすると7人目の総理に変わるかもしれませんが、以上で話を終えたいと思います。明日に期待して本日の会を終えたいと思います。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録