. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 全体会議(初日)

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8月21日午前、第7回北京-東京フォーラムの幕開けとなる全体会議が開催されました。会議冒頭では、主催者を代表して中国側理事会主席の朱霊氏(中国日報社総編集長)、次に日本側実行委員長の明石康氏(財団法人国際文化会館理事長、元国連事務次長)が挨拶されました。続いて、日中両国政府を代表し、日本側から丹羽宇一郎氏(駐中国特命全権大使)、中国側から王晨氏(中国国務院新聞弁公室主任)が挨拶しました。その後、フォーラムの全体テーマ「アジアの未来と経済再構築に向けた日中協力」に沿う形で、趙家騏氏(北京市人民対外友好協会会長)、五百旗頭真氏(防衛大学校長、東日本大震災復興構想会議議長)が基調報告を、蓮舫氏(内閣総理大臣補佐官、民主党衆議院議員)、唐家璇氏(前国務委員、中国国際経済交流センター顧問)が基調講演を行いました。総合司会は、中国側から黄星原氏(中国人民外交学会秘書長)が務めました。

 

 

 110821 a syurei主催者挨拶で朱霊氏は、「中日が国交を回復してから40年間、この間、紆余曲折もあったが、中日関係は急速な発展を遂げてきた。様々な問題について課題もあるが、今回の世論調査でも明らかなように、両国民が中日関係は重要だということについてコンセンサスがとれていることに注目したい」と述べた上で、「本フォーラムは中日関係における最も影響力のあるフォーラムだ」とし、日中関係を深化させることが自らの責務だと主張しました。

 110821 a akashi次に日本側実行委員長の明石氏が挨拶をし「中国はますます世界の重要な国として発展しているが、日中両国はアジアでともに責任を負う大国として、3.11の東日本大震災や四川大地震の時のような災害協力のみならず、経済、環境、感染症防止、紛争防止など拡大する課題に手を携えて前向きに協力していく必要がある」と指摘。また、「世論調査では厳しい認識が示されたが、このフォーラムが今後引き続き相互理解に努めていけば、それを克服する道はきっと発見されるだろう」と、日中関係の未来に対しての希望的観測を述べました。

 110821 a wan中国政府を代表して挨拶した王晨氏は、「これまで30年間、中国の民衆はかなり豊かになり、発展してきたが、一方で格差も存在する」と中国の現状を認めた上で、「中国の近代化政策は、日本にとっても大きなチャンスだ。中日両国はともに協力する道を歩むしかない。対立ではなく対話を続け、両国首脳の合意に基づいて前向きな気持ちで互いが努力すれば、我々は安定的に発展できるだろう」との見通しを語りました。

 110821 a niwaこれを受けて日本政府代表の丹羽宇一郎氏は、「全ては現場にあり」との持論を述べた上で、「日中関係の強化を考えるならば、いまこそ行動すべき時だ」と述べ、日中関係はFTAなど政府間交渉を実行する段階にきており、大使館としてはそれに全力を尽くしていく考えを表明しました。

 110821 a cyoこれらの挨拶の後、両国による基調講演がなされました。まず趙家騏氏は、「3月11日の東日本大震災は、日本人にとって大きな打撃となったが、北京市は政府その他のチャネルを通じて、資金や物資を送り、被災地を応援してきた。ぜひ、一刻も早く美しい町を復活させていただきたい」と、震災からの早期復旧、復興への願いを込めて発言されました。

 110821 a kiそれに対して、東日本大震災復興構想会議議長を務める五百旗頭真氏は、中国からの救援隊の活動に対して謝辞を述べるとともに、日本の現状について、「確かに政治は弱いが、日本社会は決して弱くないことを今回の震災は示していると思う」と述べました。また、震災復興構想会議の要点として「国民共同の理念、志、希望を持つこと」、「妥当性、合理性、実施可能性のある政策としての復興構想」という2つのポイントを説明し、6月に公表された文書を紹介しながら今後の復興ビジョンについて力強く語りました。

 110821 a renho最後の基調講演では、最初に日本側から蓮舫氏が登壇。「まさに継続は力である。北京-東京フォーラムは今回で7回目となるが、この間、日中双方の感情が友好的であり続けたというわけではない。財界やメディアなど、各界の方がホンネで語り合う場が毎年確保されていることは本当に重要だ」と、両国にとっての本フォーラムの意義を語りました。また、東日本大震災と福島第一原発事故について、政府としては一日も早い収束に向けて努力しているとした上で、「東北には、コメをはじめとしてたくさんの農産物がある。一日も早く中国の皆さんに取り扱っていただくようお願いしたい」と、会場にいる多くの関係者に語りかけました。

 110821 a to最後に発言された唐家璇氏は、中国経済の発展について、「中国は、今年5カ年計画を発表し、発展方式のパラダイムシフトを行った。いまでも少なからぬ問題を抱えているが、経済面では引き続き安定した成長を果たし、調和のとれた社会を目指していく。これは、もはや妨げられない歴史の流れとなっている。世界の動きのなかで、わが国は断固として平和発展の道を歩んでいく」と述べ、中国の発展は日本にとって脅威ではなくチャンスをもたらすものだとの考えを強調しました。また、今後の日中関係の安定化については、「政治経済における信頼関係の醸成」「経済協力についての新しいパイロットモデルをつくること」「人材交流の深化」「センシティブな問題への適切な対処」の4つを挙げ、引き続き戦略的互恵関係の強化に務めるとの強い意欲を示しました。

 

 以上で全体会議前半は終了し、会場は休憩に入りました。全体会議後半は、経済対話の一部として行われます。

 

 

 

カテゴリ: 21日全体会議

親カテゴリ: 2011年 第7回
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