. 分科会報告 - ページ 2

120702 z1

 7月3日(火)の全体会議では、基調講演に続き、前日に行われた5分科会のパネリストによる分科会報告が行われました。

 

 

120702 s matsumoto まず、分科会「政治対話」の日本側司会を務めた松本健一氏は、尖閣諸島の問題に関しては、「すぐに決着をつけようとすると、ナショナリズムの衝突になってしまう」と警告した上で、「それでもこの問題を話し合うような場をつくる必要がある」とし、「ワーキンググループをつくって、その問題を話し合う手立てを考えてはどうかという話になった」と報告しました。同じく政治対話の中国側司会を務めた王帆氏は、「大同小異で、自省的な態度をとって、両国間の共通の認識をもつことで、極端なナショナリズムに対処しなければならない」と補足しました。


120702 k kojima 続いて、分科会「経済対話」の日本側司会を務めた小島明氏は、世論調査によると、お互いの国の印象は悪くなっているが、「相手国の発展は自国にとってもプラスであるとしている意見が出ている」ことを取り上げ、実際のところ「欧州危機はアジアにも影響を及ぼし始めているため、日本と中国が協力して、アジアのための金融資本市場の仕組みや、アジアの広域なインフラづくり」が求められると主張しました。中国側司会を務めた遅福林氏は、日中間FTA、人民元取引など、議論が多岐にわたったことなどを報告しました。

 

120703 kato 次に、分科会「メディア対話」の日本側司会を担当した加藤氏は、「日本の中国に対する印象が最悪になっているが、お互い知るツールとしてメディアを使っており、メディアの責任が大きいのではないか」と疑問を提起し、「そもそもメディアに携わる者同士が相互理解できていない可能性があり、編集者・記者の交流を増やすべき」と1つの解決策を提示しました。続いて中国側司会を担当した程曼麗氏は、分科会にて工藤氏から、「軍国主義が8年にわたって日本のイメージで高い比率になっているのが疑問である」とあったのに対して、「歴史的背景があるからそうなっている」と説明したことなどを報告しました。



120702 p miyamoto 更に、分科会「安全保障対話」の日本側司会と担当した宮本氏は、自衛のための軍備増強をしているのが他国には脅威に映り、そのため他国も軍備増強を進め、そうやって戦争が起こってしまう「安全保障のジレンマ」を取り上げ、これが東アジアにも起こる可能性があると警告。これを回避する方法として、「徹底的に対話をし相互理解を進めること」とした。さらに、尖閣列島に関しては「喧々諤々の議論になった」と議論の白熱さを伝え、「早急に結論を出すことは難しいが、尖閣問題ゆえに戦争になってはならないと明確なコンセンサスがあった」とした。そして、「それでは、早急に解決できない問題をどうするか。真剣に話し合う場が必要である。」として、早急に危機管理のメカニズムを作り上げる必要があることを主張しました。呉建民氏は、「対話の方が対抗より有効である。外交的解決の方が軍事的解決より有効である。緩和ムードの方が緊迫ムードより良い。」という分科会における、3点の意見の合意を取り上げ、相互理解のための話し合いの場の重要性を強調しました。


120702 c yamada 最後に、分科会「地域対話」に出席した山田氏は、地域対話では、原子力発電所の事故問題、防災関係の知識の共有など具体的な内容が話し合われ、「さらに一歩話を進めて新しいプラットフォームをつくり知識共有する場をつくってはどうか」と報告しました。中国側司会担当の袁岳氏は、民間・青少年の交流をとりあげ、「真面目な活動ばかりでなく、例えばアニメなど若者達が好むやり方で進める方がより効果的になるのではないか」と若者の文化交流をより活性化させ、人的交流を進める重要性を強調しました。


 

 その後、今回の議論をもとに、民間による日中関係発展への提案である「東京コンセンサス」を発表し、2日間にわたる「第8回 東京-北京フォーラム」は閉幕いたしました。

 

親カテゴリ: 2012年 第8回
カテゴリ: 記事