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政治対話(前半)③

劉江永氏:

 お二人の議員からの意見をお聞かせいただきました。
 中日両国の直接の交流に直接の努力をするのは、中国共産党です。その、劉部長よりお話を頂きます。

劉洪才氏:

 ありがとうございます。中日両国関係からみれば、両国政党の交流は大事です。中谷先生がおっしゃったように、自民党は野党となりましたが、与党でも野党でも、中日関係においては変わらない関係の発展に貢献いただきたいと思います。当然ながら、これは中国共産党の使命でもあります。
 本日のテーマについて、お話しします。

 第一に、中日の戦略的互恵関係を強めることです。不景気の中では、中日関係と、経済交流を深めていく必要があります。また、相互理解を尊重することも重要です。色々な問題を解決するために欠かせないことです。

 第二に、中日は世界の中でも重要な経済大国で、経済危機によって大きな影響も受けました。アジアが早く回復するために、どのような役割を果たしていくべきかということですが、経済協力を強めなければならないと思います。積極的な措置を続け、エネルギーなどの成長分野を見つけ、また投資環境を整備しなければなりません。中日経済協力について、この大連はモデル都市になっているのではないかと思います。より多くの日本企業が大連にきて、投資を行っています。地域間交流においても新たな一歩を踏み出す必要があります。

 東アジア共同体は長期の目標です。エネルギー問題、また省エネの問題など、協力できるところはたくさんあります。

 民間交流を強めていくことも重要です。特に若い世代の相互理解が大きな課題です。メディアは理解の窓口ですから、メディア交流も重要です。全面的、客観的にお互いの友好関係を宣伝していってほしいと思います。
両国の指導者の良識を養い、友好関係を持つ政治家の育成もしていく予定です。両国が設定した共同目標にこのフォーラムが貢献できるようお祈りいたします。
松本氏:
 政権交代があっても、日中両国関係については交代があってはならないという話はごもっともだと思います。渡部先生は、政権交替を明治維新にたとえられましたが、藩の枠を越えて話し合うという経験を日本は持っている。そうでこそナショナルな国家変革は可能になると思います。では笹木竜三先生。

笹木氏:

 政権交代しても日中関係は変わらないでほしいということでしたが、安心してほしいと思います。鳩山さん、岡田さん、仙谷さんも、これまで以上に日本が中国に積極的に関わっていくことが大事だと考えています。総理はおじいさんからの思い入れもあってアジア共同体と言っている。鳩山さん自身が口にしているのは「人間第一の経済」です。

 金融危機の話が先ほどからありますが、金融の成長で見る成長が人間の幸福の向上につながるかは疑問です。

 その際に大事なのは、これからのビジョンです。自由と平等だけでは足りない、「友愛」がキーワードだと。日本の自由主義のありかたがこのままでいいのか、ビジョンを出していきたいと思います。

 例えば、雇用対策の中に介護の人材育成などを含めた政策を出しています。東アジアの人間のための経済、それは環境、エネルギー、食料の問題だろうと思います。安定的な発展のネックになるかもしれません。
たとえば、太陽光の蓄電については、かなり研究が進んでいます。

 世界を牽引していくような環境産業、それを東アジア共同の場で行っていくと。そして東アジア域内の内需を拡大していく、そして人間の幸福を実現する新しい産業を興していくことが必要ではないかと思っております。
 ところで、由利公正がつくった五箇条のご誓文のなかで、こういう文章があります。
 「政治にとって大事なのは、人心をして倦むことなからしめん~」
 人民を諦めさせることはしてはいけないと。東アジア共同体を、これまで以上に日本が進めていく、これが必要とされているんだろうと思います。

 最後に、共通の柱も大事ですが、東アジアの新しい価値観、モデルを創り出していくことが必要だと思います。東アジア発の新しい価値観―たとえば、人間のための経済や、共生のための経済―それを日本と中国で一緒にやっていけたらいいなと思います。日中共同で、和をもって、新しい産業などを興していくということです。これをもって私の発表とさせていただきます。

松本氏:

 ありがとうございました。
 ある統計によれば、世界の中では、中国、インド、日本で世界のGDPの30%を占めるようになるだろうと。実は、1800年代とこれは同じなんです。アジアの成長のための秩序を支える新しい価値観を、日中で強く打ち出していきたい。そういうことを提案としたいと思います。

劉江永氏(司会):

 中日関係の安定のためには政治経済だけではなく文化面の交流や相互理解も必要です。3つの車輪があれば安定するが、他にもメディア、環境、政党などさまざまな車輪をお互いに進めていくことによって、中日友好の列車は加速していくでしょう。

親カテゴリ: 2009年 第5回
カテゴリ: 記事